POWER FOR
SMILE MAGAZINE

「笑顔」を生みだす ひと・もの・しごと を紹介

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次世代の子どもに伝えたい、努力と挑戦の先で、成長した自分の笑顔に出会う。

PROFILE

鶴山 雄一

加賀建設株式会社 代表取締役社長

大手建設会社で施工管理のキャリアを積んだ後、2008年に加賀建設株式会社に入社、2020年から同社代表取締役社長を務める。建設業を軸に、飲食事業やフードプロダクト事業、地域の交流拠点づくりなど枠にとらわれない事業展開を行う。

建設業を軸とし、地域活性化にも果敢に取り組む加賀建設。その背景にあるのは、「地域を元気にしたい、伝統文化をつなぎたい」という次世代への想いです。先々代から受け継ぐふるさと金石への愛着と、AI時代だからこそ伝えたい幸せのカタチとは―。経験に基づくビジョンを掲げ、挑戦を続ける鶴山社長に「笑顔の力」について聞きました。

  1. POINT 01

    人生は成長の連続。あえて困難な道を選び、努力をして乗り越えた先に成長した自分と出会える。

  2. POINT 02

    “危機”という困難を乗り越えることで努力の大切さを実感。挑戦しやすい風土と努力を評価する体制を構築。

  3. POINT 03

    自分の挑戦が誰かの心に響き、新たな笑顔を生み出していく。そんなポジティブな循環を広げていきたい。

人生は成長の連続、あえて困難な道を選ぶ

“笑顔”にはさまざまな目的があり、例えばコミュニケーションをスムーズにする社交的な笑顔もあれば、緊張をほぐすための笑顔もあります。私が惹かれるのは、努力の先で成長した自分と出会った時の笑顔。人生は成長の連続で、壁を乗り越えた先に、成長した自分が待っていてくれる。あえて困難な道を選んだからこそ、成長できる。企業として数値目標もありますが、私が評価するのはその過程にある“がんばり”と“やりぬく力”です。努力してつかみ取った成長という事実は自信につながるし、その後の人生を豊かにしてくれるはずですから。成長することは、本人にとっても幸せを実感できる瞬間なんじゃないでしょうか。“なんとなく”ではなく、何かに真剣に取り組む姿は人として美しいですし、周りを笑顔にしてくれます。

リーダーのふとした時の笑顔が安心感に

祖父の優しい笑顔を思い出します。先々代である祖父は厳しい面もありましたが、ピンチを持ち前の負けん気でやり抜く人であったと聞いています。経営状況が厳しいなか、社長を引継ぎ大変苦労したそうです。昭和30年代頃、金沢港の開港をチャンスと捉えて港湾事業へと参入し、現在の加賀建設の基礎を築いた人でもありました。
会長である父も、私もそうですが、企業の経営者はリーダーとしての重圧や苦悩と戦っており、常に笑顔でいられるわけではありません。父も困難にぶつかって決断を迫られた時、険しい表情をしていました。ただ、ふとした瞬間に見せる優しい笑顔が場の雰囲気を一瞬で変えてくれていたのが印象的です。危機を乗り越えてきたリーダー特有の包容力が感じられ、周囲に安心感を与えてくれていました。そう考えると、リーダーの笑顔には「場」をポジティブにする力がありますし、とても力あるものではないでしょうか。

“危機”からの転換、努力を評価する体制へ

私が入社した2008年、加賀建設は赤字になり、先行きが不安な状況でした。振り返ると、当時の加賀建設は仕事を受注するためのノウハウや企業の価値を提示する技術力が乏しかった。時代の変化に対応できず、受注がままならない状況でしたから、なんとか会社を立て直そうと知恵をしぼりましたし、猛勉強しました。徹夜も続いて、もう言葉ではあらわせないくらい大変な毎日。中でも一番つらかったのが、「期待をされていない」と感じてやめていく社員が多かったこと。社員にそんな思いをさせてしまったことに、自分の無力さを感じました。とにかく提案書を作り、受注戦略を転換したことで、状況が上向き、翌年には赤字経営から脱却できました。
この経験が教えてくれたのは努力の大切さです。従業員に「期待されていない」と感じさせないよう、挑戦しやすい風土と、努力を評価する体制を築いてきました。現在は仕事を通じて自己実現し、生活を豊かにしていく「ワークインライフ」の発想を働き方のベースにしています。

「厳しさ」と「笑顔」から生まれる一体感

土木と建設は社会インフラをつくる仕事ですから、大きな責任が伴うもの。命に関わる事業もあるので、現場では厳しい管理が不可欠です。トップとして企業を成長させ、社員とその家族の生活を守るためには、どんな場面でもベストを尽くさなければなりません。その一方で、経営者の厳しさが社員たちを萎縮させてしまえば、現場の意見が届きづらくなるため、チームワークを高める工夫を大切にしています。
年に4回、懇親会など社内の飲み会を開催しているのは、チームワークの基盤づくりの一環です。この日は難しいことは抜きにして、上司も部下も関係なし。社長である私が盛り上げ役となり、全員が楽しめる空気をつくっています。
懇親会を無駄だと考える人もいるかもしれませんが、業務外のフラットな会話を通して各世代の等身大の考え方にふれることができ、チームの結束力を強められると信じています。

地域が輝くから加賀建設の未来がある

祖父の代から、地元金石への想いはずっと持ち続けてきました。「金石町家(仮)」の提供などまちづくり事業を始めたのも、“地域が輝いてこその加賀建設”という信念があったからです。金石は港町で、食文化など独自のカルチャーがあって、人も温かい。つながりを大切にする風土があり、困った人がいるとほっとけないのも、金石らしさです。人とのつながりがあると、それが居心地の良さになり、ふるさとへの愛着がわいてくる。大人だけじゃなく、次世代の子どもたちにも、「私のふるさとって、いいところ」と自信を持ってほしいんです。
変化の激しい現代、子どもにとって幸せを感じにくい環境かもしれません。今後、AIの台頭により既存の仕事はカタチを変え、社会課題は複雑化し、ぶつかる壁も大きくなる。そんな不確実な世界で、自分らしさを失わず、幸せをつかみ取るにはどうすればいいのか。自分と違う価値観にふれ、認め合い、共感すること。そこから自分らしい価値観を生み出し、軸を持って、たくましく生きていく。地域とつながりながら、どんな環境にも屈せず活躍できる子どもを育てたいのです。

達成感に満ちた笑顔が人に感動を与える

一言であらわすなら、「努力の証」です。ただ楽しいから笑うのではなく、自分を信じてやりぬき、たどりついた笑顔には確かな影響力があります。
私たちのミッションは、「新しい価値を提供することで、誰かを笑顔にすること。」
物理的なインフラ構築だけでなく、地域に寄り添いながら、心が豊かになる社会基盤を創造する企業でありたいと考えています。社員には、チャレンジすることで成長し、社会に貢献してほしい。探求心を持って、新しい価値を創造してほしい。地域の皆さんにはふるさとの文化に誇りを持ち、次世代へつないでいただきたい。
自分の挑戦が誰かの心に響き、新たな笑顔を生み出してく。そんなポジティブな循環が、社会へ、未来へ広がっていくことを願っています。

EDITOR’S NOTE

編集後記

「他者との違いにふれることで、人は成長できる」
インタビューの中で、印象に残った鶴山社長の言葉です。地域のために「金石町家(仮)」という交流拠点を提供していることも、採用活動で文理を問わず多様な仲間を迎え入れていることも、「異文化との出会い」を創出したいという想いからなのでしょう。
その先に見つめているのはどんな未来なのでしょうか。 AIの技術が進む今、私たちは効率化と引き換えに、「本当の幸せとは?」という問いの答えを見失いかけているのかもしれません。人とのつながりが薄くなり、自分の価値が見えにくくなる今、鶴山社長の言葉と行動力は、次世代を生きる子どもたちにとって、未来を照らす羅針盤になってくれるはずです。
鶴山社長が入社された2008年は、リーマンショックにより会社が赤字に直面した苦難の年でした。その中でがむしゃらに学び、これまでのやり方を切り替えることで、その窮地を乗り越えてきました。 そんな数々の試練を乗り越えたリーダーだからこそ、「努力の先にある笑顔が、周りの人も笑顔にする」という言葉には重みがあり、今、目の前の壁に悩んでいる人へのエールとなって響きます。