金沢港(大野地区)泊地(-10m)土砂運搬工事(その1)

工事の背景

今年、石川県の物流拠点である金沢港に入港する大型客船の乗客をはじめ、多数の方が利用される『金沢クルーズターミナル』がオープンしました。
以前ご紹介したとおり、金沢港は大野川河口に位置していることから、流入する土砂によって水深が浅くなる特徴があります。
そのため、大型客船が安全に入港できるよう海底の土砂をしゅんせつしなければなりません。その量はざっと25mプール500個分に相当する約30万m3となります。
しゅんせつした土砂は、金沢市金石町に隣接する金石海原地内の広大な土地の中で、兼六園と同じ広さくらいの区画にポンドと呼ばれる長方形の穴をつくり、一旦、その穴の中に堆積しています。
堆積している土砂は、いわゆる『ヘドロ』と呼ばれる状態になっており、水を多く含み、軟らかくてそのままの状態では、人が表面を歩く事ができない状態です。

工事の目的

そこで、当社が行っている工事が必要となります。
本工事では、堆積されているヘドロを有効利用する事を目的としています。
有効利用の具体的な方法は、まず、ヘドロにセメントを混ぜ、2日ほど現場内置きヘドロとセメントが反応させます。そうすると、表面を人が歩くことができるくらい硬くなります。
このように、ヘドロにセメント等を混ぜる事を土質改良と言い、できた土砂を『改良土』と呼んでいます。
改良土は、川北町にある砂利を採掘し大きなくぼ地となっている所まで運びます。
このくぼ地は、今、石川県内で行われている新幹線敦賀延伸工事において、大量のコンクリトートが使われましたが、そのコンクリートの材料として使われた砂利を採掘してできたものです。
このくぼ地を埋め、元の状態に戻すための材料を作り運搬してあげる事が本工事の目的です。

工事の工夫

本工事受注時の設計の考えでは、ヘドロとセメントを混ぜる方法としてバックホウと呼ばれる掘削機械で混ぜる事になっていました。
しかし、バックホウで混ぜた場合、ヘドロとセメントがうまく混ざらない事が多いことから、発注者と打合せを重ね、自走式改良機(機械名 リテラ)と呼ばれる機械を使い土質改良を行う事になりました。
自走式改良機は、投入口からヘドロを機械の中に投入すると、機械の中で決められたセメント量とヘドロを混ぜ、改良土を作るので、改良土は均一な硬さとなります。
本工事ではお風呂1杯分のヘドロに、2ℓのペットボトル10本分の割合でセメントを混ぜています。

さいごに

工事も約6割完了し、年内には全て完了する見込みです。
最後まで安全管理を徹底し、無災害竣工を目指します。